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旅学 ツェルマット④ 貧しかったから、へき地だったから住民が必死に考えた

ツェルマット4回目。リッチでゴージャスなイメージがあるツェルマットですが、実は違うんですよというお話です。

 

山岳リゾート・ツェルマットに釧路や弟子屈の仲間と共に視察に行くと知った観光関係の知り合いが、「著名なところ、成功したところに行って何を学ぶんだ」と警告に近いメッセージを寄せてくれたことを思い出します。その気持ちわからなくもありません。でも違うんですよ。

 

現地で、観光局や住民団体の主要メンバー、ホテルオーナーにお話を聞くと「陸の孤島ともいえるへき地。極貧の時代があったのです」「岩しかない、気候も厳しい、主要都市からも遠い、本当に地の果てと言われた貧しさを、自分たちのお爺さんおばあさんが何とかしなくてはと本気で取り組んだ結果が今なんです」という言葉を多く聞きました。

 

危機的な状況から抜け出すには、農業と観光を基軸に『地域経営』に住民が主体的に取り組み、地域全体で収益力を向上させるしかなかったのです。「地域にとって重要なことは住民が幸せになり、まちが豊かになる『自立、持続』。地域に必要な産業の在り方を何度も問い直し、自立・持続可能な社会を維持するために経済基盤の構築を最優先に対話と行動を続けてきたんだ」と話す経済人に滞在中何度もお会いしました。

 

上の写真の花の飾り方。花代を自治体が出したりはしていません。住民のQOL(クオリティオブライフ)が上がれば上がるほど、観光・リゾート地としての魅力も増し、さらなるファンが増える…そういう好循環のシステムを作り上げる必要性を、住民一人ひとりが理解して、自ずから花の種をまいて、苗を立て、植えて、管理をしているのです。

 

勿論、地元の花のプロに頼む事業者もいます。でもプチホテルのオーナーたちは「元気な花を育て、長く美しく保つことが自分の美意識やライフスタイルを表しているのよ。大変だけど楽しいの」と教えてくれました。元花新聞ほっかいどう編集長としては、ぐっとくる言葉でした。

 

繰り返しになりますが、元々、恵まれない土地で貧しい放牧農家しかいなかったツェルマットの人たちの危機意識はとても高いです。住民が一致団結し、生きていくことに必死です。

いかにマッターホルンが世界的に有名であろうと、それだけではこんなへき地にお客様は来てくれない。例え、マッターホルンを眺めに来てくれたとしても、ツェルマットに滞在してくれなければ外貨獲得が出来ず自分たちは食べていけない。だが大規模リゾート開発に手を出すと、自然環境や景観等があっという間に壊れてしまう。その結果自分たちの生活やコミュニティも崩壊する… 。そうならないように地域の資源や価値を最大限活かし、住民の生業となるような仕事を生み出し、助け合い協力してきたのです。150年かかったそうです。

地域としてのこだわり、思想や哲学(美学)。それをもとにした普遍的な変わらないテーマ・コンセプトがツェルマットにはありました。地域全体と事業の狙いや主題,概念をはっきりさせ、納得し地域の一人一人がで共有しているのです。流行に飛びついたり、村のボスの好みで毎度毎度テーマやコンセプトが変わってしまうのは論外です。

地域としての事業の柱、一本筋が通ったものがないとブランド構築も出来ないのです。

 

スイス・ツェルマットではずっと「エコロジー」をテーマ・コンセプトとして変えずにやってきたおかげでカーフリーリゾートになりました。地域として事業を進める時には必ずテーマ・コンセプトをルールとして守らなくてはダメですよね。牛歩のように時間がかかってもいいのです。徹底して、一人ひとりにわかるように伝えることが大事です。そのこだわりを持った活動が大きくなればなるほど,ツェルマットに来てほしい、滞在してほしい、リピートしてほしいと願うターゲット市場へ大きなメッセージとして届くのです。

 

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