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ヒグマとの付き合い方を教えてくださった、佐藤文彦さんのこと。

知床のこと、ヒグマと人間との関係のことを2日間書きました。ふと、私にヒグマのこと、大雪山のこと、簡易トイレのこと他を教えてくださった佐藤文彦さん(ヒグマ情報センタ―を運営されていた)ことを思い出しました。去年の10月6日に亡くなられましたので、もう1年が経ってしまいました。78歳、早すぎました。

 

「やっさん」と慕う山男、山女たちが日本中にいました。優しくて厳しい人でした。北大農学部出身で、私が農学部の大学院(社会人枠)で学びだしたことを伝えると、これで後輩になったなと笑ってくださいました。

大雪山国立公園の歴史全て(といってもいい)をご存知でした。登山道の維持管理、山のトイレ問題、高山植物盗掘防止などに長年取り組んでいらっしゃる方で「風の便り工房」という会社名も素敵でした。

 

初めてお会いしたのは、2013年の7月上旬だったと思います。山開きの前日であれば、巡視員全員集合!だから、たくさんの面白いやつに一度に会えるよ。せっかくだから若い人たちからヒグマの話を聞いていってよと言われました。

「大雪山の高山植物がなくなるとヒグマの生死に関わる」、「北海道はヒトとヒグマがともに高い密度で、隣り合って暮らしている希有な地域なんだよ」と静かに説明してくれる方でした。「僕ら現場の最前線は、ヒグマを知り、よく学ばないといけない。あつれきを避け問題を解決するためには、努力と手法が必要なんだ」と時には熱く語られました。

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例年だと、年間5000人~1万人が訪れる「高原沼巡りコース」を歩くには、必ずこのヒグマ情報センターで入林届を出し、レクチャーを受ける必要があります。

入山は午前7時から午後1時まで、そして午後3時までにはセンターに戻ってきてもらうというルールがありました。その理由は、早朝、夕方にヒグマが活発に活動する場所に人は出向かないほうがよいからです。

 

ヒグマ情報センターでは、ヒグマの出没情報(例えばケイコなどという)クマの名前や、親子ぐまなのか単独なのかといった詳しい情報と、見かけた人との距離。そして、姿は見えなくても、糞、足跡、食痕などを毎日更新して地図に落とし込んでいます。そうした日々更新される情報がなぜあるかといえば、情報を集める巡視員がいるからです。私が最初にお邪魔した時には確か6人ぐらいの、いかにも山男という風貌の方が交代で高原温泉・沼巡りコースを点検していました。

 

大雪山自体がヒグマの生息地ですが、高原温泉・沼巡りコースはヒグマが多く生息しています。特に、7月中旬からの一か月ほどは、ほぼ毎日遠くの斜面にヒグマが見られる大雪山でも稀有な場所の一つといわれています。だからこそ、利用者がヒグマのことを理解し、ヒグマとの距離を保った関係を作ることが求められます。

 

長くなりましたので、続きは明日。

 

 

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